秋保ワイナリーの歴史

東日本大震災の発生

2011年3月11日、設計事務所に勤めていた毛利親房(仙台秋保醸造所代表取締役)が手掛けた、宮城県女川町の温泉施設「ゆぽっぽ」が津波の被害を受けた。基礎の土台だけが残った現場を見て建築の弱さを痛感した毛利は、復興への強い想いを持つ。いくつかの復興案を作成する中、山元町にあった宮城唯一のワイナリーが津波の被害にあい、県内のワイン産業が途絶えてしまうことを知った。

復興への第一歩

「ワインには人と人、食と人をつなぐ力がある。ワイン産業が復活すれば、きっと地域の産業を巻き込んで盛り上げられる」と思い立ち、東北沿岸再生プロジェクトの一環として、ワインヴィレッジづくりを構想。かつてワイナリーがあった土地で10種類のぶどう栽培をスタートさせるが、津波の影響で土壌に含まれた塩が生育障害を引き起こすなど進行が困難な状況に。一時は諦めそうになる中、家族の言葉が背中を押し、新天地で再起を図ることに。

ワイナリー設立

ぶどう栽培の“農”と、ワイナリー建設の“商”の双方に適した土地探しに難航する中、友人の紹介で現在の土地と巡り合う。仙台の中心部から車で約30分のところにある秋保温泉の、敷地面積2ヘクタールに及ぶ耕作放棄地。生い茂った樹木の開墾は、のべ約200人のボランティアの協力により達成した。
2014年春にはぶどうの木を植え始め、同年3月に株式会社仙台秋保醸造所として法人を設立、ワイナリーの建設にも着手。そして2015年12月、震災後県内初のワイナリーとして、現在の「秋保ワイナリー」をオープンした。

2013年 農地確定

2014年春 葡萄の植樹

2014年 ワイナリー建設

「テロワージュ」の提唱

現在の秋保ワイナリーでは、ぶどう栽培やワイン醸造だけでなく、担い手の育成、地域振興、ツーリズムなどに取り組んでいる。2020年には、東北の魅力を世界に発信するべく、酒造会社や飲食店など様々な事業者の協力のもと「テロワージュ東北」を設立。オール東北でさらなる地域の発展を目指している。

テロワージュ詳細